心や体の調子に波があるあなたへ。「ちゃんと」休むことを自分に許すヒント
心や体の波に「ちゃんと」できないと感じる苦しさ
私たちの体や心は、常に一定ではありません。元気な日もあれば、なぜか体が重かったり、気持ちが沈んだりする日もあります。これはごく自然なことであり、誰にでも起こりうることです。
しかし、社会には「いつも元気に活動しているべき」「調子が悪くても頑張るべき」といった暗黙の「ふつう」や期待があるように感じられる場面があるかもしれません。そうした中で、体や心の調子に波があると、「自分は『ちゃんと』できていないのではないか」「もっと頑張らなければ」と、自分を責めてしまうこともあるのではないでしょうか。
特に、周りの人がテキパキと物事をこなしていたり、SNSで「充実した毎日」を見かけたりすると、自分のペースや状態との違いを感じて、漠然とした不安や焦りを感じてしまうこともあるかもしれません。
このような「ちゃんと」できない自分に対する苦しさは、決してあなただけが感じているものではありません。多くの人が、心や体の声と、社会的な期待との間で葛藤を抱えています。
体や心の波は自然なこと
まず大切なのは、心や体の調子に波があることは、決して「ダメなこと」ではないと知ることです。私たちの体は、季節や天気、生活リズム、さらには目に見えない小さな変化にも影響を受けています。心もまた、様々な出来事や感情に反応して揺れ動くものです。
例えば、一日の中でも集中できる時間とそうでない時間があるように、一週間、一ヶ月、あるいは一年といった長いスパンで見ても、心身の状態には自然なサイクルがあります。これは、生命本来の姿であり、無理に逆らうことの方がかえって不調を招くことさえあります。
「ちゃんと」とは一体何でしょうか。それは、誰かによって定められた基準や、社会的な期待かもしれません。しかし、その基準が、今この瞬間のあなたの心や体の状態に合っているとは限りません。
「ちゃんと」の形は一つじゃない
「ちゃんと」の定義は、人それぞれ、状況それぞれであって良いのではないでしょうか。
例えば、ある人にとっての「ちゃんと」が「朝決まった時間に起きて働くこと」だとしても、体調が優れない時には「お昼まで休んで、午後からできる範囲で仕事を進めること」が、その人にとってのその日の「ちゃんと」になるかもしれません。
また、心の状態が不安定な時に「人に会って交流すること」が難しいと感じるなら、「一人で静かに過ごし、心に休息を与えること」が、その時のあなたにとっての「ちゃんと」なのかもしれません。
このように、「ちゃんと」の形を、一般的なものさしではなく、自分自身の心と体の状態に合わせたものに変えてみることは、自分を不必要に責めないための大切な一歩です。
自分に「休むこと」や「そのまま」を許すヒント
体や心の波がある中で、自分に優しくなるためのヒントをいくつかご紹介します。
- 心と体の声に耳を澄ませる: 今、自分は何を感じているか、体はどんな状態か、意識的に問いかけてみてください。疲れているなら「休みたい」、気が乗らないなら「今は難しい」という正直な声に気づくことが始まりです。
- 完璧を目指さない: 「〇〇でなければならない」という理想の自分像を一旦手放してみましょう。できたこと、やったことに目を向け、「今日はこれだけできた」「今はこれくらいで大丈夫」と、今の自分を認めてあげてください。
- 小さな単位で考える: 一日全体を「ちゃんと」過ごせなくても、午前中だけ、あるいはこの1時間だけなど、小さな単位でできること、できたことを見つけると、気持ちが楽になることがあります。
- 「何もしない時間」を肯定する: 調子が悪い時や疲れている時に、何もせずただぼーっとしたり、好きなことだけをして過ごしたりすることは、心や体に必要な回復の時間です。この時間を「サボり」や「無駄」と捉えず、自分への大切なケアだと考えてみてください。
- 頼ることをためらわない: もし頼れる人がいるなら、周りの人に助けを求めることも選択肢の一つです。一人で抱え込まず、誰かに話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
- 自分にとっての「ここちよい」を見つける: 世間一般の「ふつう」や「ちゃんと」ではなく、自分が心身ともにここちよいと感じる過ごし方やペースを探してみてください。それは、他の誰とも違う、あなただけの「ちゃんと」の形になるはずです。
まとめ：あなたの「ちゃんと」を自分で決めて良い
体や心の調子に波がある中で、「ちゃんとできない」と自分を責めてしまう気持ちは、とてもつらいものです。しかし、あなたの体や心は、あなた自身を守ろうとして、正直なサインを送ってくれています。
そのサインに気づき、自分に「休むこと」や「完璧でなくても良いこと」、「今のままで大丈夫なこと」を許してあげること。それは、決して甘えや怠慢ではなく、自分自身を大切にするための、とても勇気のいる、そして必要な選択です。
「ちゃんと」の定義は、誰かに決められるものではありません。あなたの心と体がここちよいと感じる状態こそが、あなたにとっての最も大切な「ちゃんと」の基準になり得ます。
この「ここちノート」が、あなたがご自身の心と体の声に耳を澄ませ、あなただけの「ちゃんと」の形を見つけていくための一助となれば幸いです。