「好きなこと」を仕事にしなくても。日常の小さな興味を大切にするヒント
「好きなこと」が仕事にならないことに、漠然とした不安を感じていませんか？
「好きなことを仕事にしよう」
そんな言葉を、私たちはよく耳にするかもしれません。SNSを見れば、好きなことで輝いているように見える人たちがたくさんいて、「自分もそうならなければ」と、どこか焦りを感じることもあるかもしれません。
「これといって情熱を傾けられるものがない」 「好きなことはあるけれど、それを仕事にするのは難しそう」 「今の仕事は好きじゃないけれど、他にやりたいことも見つからない」
もしあなたが、そんな風に感じているとしたら、それは決してあなただけではありません。多くの人が、「好きなこと」と「仕事」の結びつきについて、漠然とした不安や焦りを抱えているように感じます。
「好きなこと」を仕事にすることが「ふつう」や「正解」のように思えてしまい、そうでない自分は何か足りないのではないか、このままでいいのだろうかと悩んでしまうこともあるかと思います。しかし、「好きなこと」と「仕事」の関係性は、決して一つだけではありません。
仕事と「好き」の関係は、多様であっていい
私たちは、人生の多くの時間を仕事に費やします。だからこそ、「好きなことを仕事にできたら幸せだろう」と考えるのは自然なことです。もちろん、それが実現できる人もいますし、素晴らしいことだと思います。
しかし、仕事は必ずしも「一番好きなこと」でなければならないのでしょうか。
仕事には、生活を支えるための収入を得るという大切な側面があります。また、社会との繋がりを感じたり、誰かの役に立つという喜びを得られたりする場でもあります。たとえその仕事が、あなたの「一番好きなこと」でなかったとしても、安定した生活を送るための基盤となり、日々の安心感を与えてくれることもあるでしょう。
一方で、「好きなこと」は、あなたの心を豊かにし、人生に彩りを与えてくれるものです。それは、誰かに評価される必要のない、あなた自身の内側から湧き上がる興味や喜びかもしれません。
もし、「好きなこと」を無理に仕事に結びつけようとして疲れてしまうのであれば、一度立ち止まって、仕事と「好き」を切り離して考えてみることも一つの方法です。仕事は生活の基盤、好きなことは心を潤すもの、として捉えてみるのはどうでしょうか。
大きな「好き」が見つからなくても大丈夫。日々の「小さな興味」に目を向けてみる
「私には、これといって人に語れるような『好きなこと』がないんだ」
そう思っている方もいるかもしれません。熱中できる趣味も、特別なスキルも、人に誇れるような「好き」が見つからないと感じて、自分には価値がないように思えてしまうこともあるかもしれません。
でも、「好き」の形は、一つではありません。「情熱を傾ける」「没頭する」といった大きなものだけが「好き」なのではないのです。
日々の暮らしの中に潜む、ほんの些細な「これ、なんだろう？」「ちょっと面白いな」「きれいだな」と感じる心ひかれる瞬間も、立派な「小さな興味」であり、「好き」の始まりです。
例えば、
- 通勤途中で見かけた、季節ごとに花を咲かせる植木
- SNSで見かけた、ちょっと気になる料理のレシピ
- 書店で偶然手に取った、普段読まないジャンルの本の装丁
- 友人が話していた、楽しそうな習い事の話
- 散歩中に見つけた、変わった形をした雲
これらは、どれも日々の小さな「好き」のきっかけになりうるものです。大きな目標や情熱がなくても、こういった小さな興味に目を向け、大切にすることで、あなたの日常は少しずつ豊かなものになっていきます。
日々の小さな興味を大切にするヒント
では、どうすれば日々の小さな興味に気づき、それを大切にできるのでしょうか。いくつかヒントを提案させてください。
- 立ち止まる習慣を持つ: いつも急ぎ足で通り過ぎている場所で、少しだけ立ち止まってみる。電車の窓から、いつもとは違う景色に目を向けてみる。少しの立ち止まりが、新たな発見に繋がることがあります。
- 「なぜ？」を大切にする: 「これ、どうなっているんだろう？」「なぜこう感じるんだろう？」といった素朴な疑問を、そのままにしない。すぐに答えが見つからなくても、その「なぜ？」を持つこと自体が興味を深める第一歩になります。
- 気になったことを書き留める: スマホのメモ機能でも、手帳でも構いません。心に留まったこと、気になったことをさっと書き留めてみましょう。後で見返すと、自分がどんなことに興味を持っているのか、思わぬ発見があるかもしれません。
- 情報との付き合い方を見直す: 無数の情報に圧倒されてしまうときは、意識的に情報から離れる時間を作ることも大切です。そして、情報に触れるときも、「これは自分にとって本当に必要な情報かな？」「自分の心をざわつかせるだけかな？」と少し立ち止まって考えてみる。自分にとってここちよい情報との距離感を見つけることで、本当に心ひかれる情報に気づきやすくなります。
- 「〇〇しなければならない」を手放す: 興味を持ったこと全てを深掘りしたり、何か成果に繋げたりする必要はありません。ただ「面白いな」と感じるだけで十分なのです。「しなければならない」という義務感を手放すと、純粋な興味を楽しむことができるようになります。
あなたの「ここちよさ」を見つける羅針盤は、あなたの内側にあります
「好きなことを仕事にする」という一つの価値観に縛られ、自分を否定する必要はありません。大きな「好き」が見つからなくても、情熱を燃やす何かがなくても、あなたは十分素晴らしい存在です。
大切なのは、誰かの「ふつう」ではなく、あなたの心が何に「ここちよさ」を感じるのかを知ることです。それは、華々しい成功体験ではなく、日々の小さな発見や、心穏やかに過ごせる時間の中にあるかもしれません。
日々の小さな興味を大切にすることは、あなたの内側にある「ここちよさ」を見つけるための、静かな羅針盤になってくれるはずです。焦らなくて大丈夫です。あなたのペースで、あなたの心の声に耳を澄ませてみてください。
ここちノートは、あなたのそんな道のりを応援しています。